ナースプラクテショナーの日本への導入時期
ナースプラクテショナーは日本でも導入される??
こんにちは、訪問看護師のYukiです。
皆さんは、「ナースプラクテショナー」という職業をご存知でしょうか?
ナースプラクテショナーとは、簡単にいうと医師と看護師の中間職のようなものです。
よく、ナースプラクテショナー=特定看護師として説明しているサイトがあるのですが、両者は全く違いますし、日本では未だにナースプラクテショナーに相当する国家資格は導入されていません。
日本ではまだ一般的ではない職業、ナースプラクテショナーを今回はまとめて行きたいと思います。
そもそも、ナースプラクテショナーって何??
概要
先ほどもご紹介しましたが、ナースプラクテショナー(以下NPと表記します。)とは医師と看護師の中間の権限を持つ医療職です。NPは主にアメリカで導入されていて、アメリカの看護師全体の約6%がNPの資格を持っています。
仕事内容
日本において、看護師は検査や薬剤の処方をすることが認めらていませんが、NPは看護師の医師の中間職ですので、 性的な疾患・軽度な疾患においては、検査や薬剤の処方をすることが認められています。
ナースプラクテショナーになるには
アメリカでは、看護師として一定以上の臨床経験を積み、大学院で専門的な知識を身につければNPの資格が与えられているようです。(このあたりは日本の特定看護師と似ていますね。それゆえに、ナースプラクテショナー=特定看護師という誤解がなされるのだと思いますが、両者の権限や業務内容は全く違います。)
年収
アメリカのNPの平均年収はなんと、10万4144ドル(為替レートにもよりますが、年収1000万円以上です。)
と思われるかもしれませんが、アメリカにおける看護師の平均年収は500万円ほどですので、やはりNPと看護師の待遇の差は明らかです。
ナースプラクテショナーの日本への導入
それでは、日本でもNPの導入がなされるのでしょうか??
NP導入に関するポジティブな影響とネガティヴな影響についてまとめてみました。
ポジティブな影響
以上の内容を踏まえた上で、プライマリ・ケアにおけるNPの実践が、この医療費削減に絶大なる効果をもたらすと推測する。NP は看護職であり、的確な根拠に基 づく患者の個別性を踏まえたケアプランによって患者への介入を行う。
こういった看護職独自の介入によって、 国民の疾病予防及びその悪化を最小限にとどめることが 可能と考える。例えばNPは、緊急性を要さない患者を 対象に検査・診断を行い、治療(処方・投薬を含む)を実践する。
NPはこの診療過程において、療養生活上の個別的指導や患者のコンプライアンスを高めるための看護実践で培った能力を活用するであろう。こういった NPの地道なケアによって受診者数は減少し、その費用対効果は高まると推測する。
つまりNPは、看護の独立機能を目指しつつ国民への医療サービスを提供することが目的であり、医師業務を国民への健康意識及び疾病予防意識の向上 「病気に罹患すれば病院にいく」といった日本人の国民意識よりも、国民自身が疾病予防のための対策に関する知識を向上させることが必要である。
これを踏まえ、 日本における NP の診療が国民の疾病予防に対する意識 改革につなげられると推測する。NPは、適切な検査及びフィジカル・アセスメントによる診断を踏まえ、ケアリングの観点から問題を抽出する。
それを解決するための治療計画に加えて、患者の生活様式を考慮した個別的指導を実践していく。こうした NP の介入は、患者自身が持つ自然治癒力を高められると考える。例えば慢性疾 患を抱えた患者の場合、疾患と共存するためのセルフケア能力の向上が重要である。
このためには、患者の全体 像を十分に把握し、個別性を生かした指導技術が求められる。看護師資格を持つNPのケアリングは、その内容を十分に包括している。
NP によるケアリングが、個人への健康の保持に向けた継続看護を提供することで、国 民の健康意識の向上に多大なる効果をもたらすと考え る。
引用元:日本におけるナース・プラクティショナーがもたらす医療改革への期待
この論文(タイトル)では、NPを日本に導入することによって、
①医療費の削減
②国民全体の健康意識の向上
といった、ポジティブな影響があると述べています。
ネガティヴな影響
アメリカでは、民間保険中心であり、公的保険はメディケア(高齢者・障害者対 象,13.8%)、メディケイド(低所得者対象,13.2%)のみである。また、無保険者が 15.3%に達している※注1) 。
支払い能力によって受けられる医療に差があり、医 療の質より医療費の安さが優先されることもある。このため、医療費が安く済む NPへのニーズもあると考えられる。
これに対し、日本でアメリカのようなニーズがあるかどうかは明らかではない。むしろ、国民皆保険の日本では、国民の多くが同じ医療を受けられることを望んでいる。
責任の所在を明確にしないまま、医師不足に名を借りて役割分担だけを先 行させるべきではない。国民の不安は、産科、小児科、救急医療を始めとす る「医師不足」にある。 医師不足の解消が最優先課題である。また、医療の本質である安全と質の確保という観点からも、NPの導入は容認できない。
引用元:ナースプラクティショナー( NP )の導入に 対する日本医師会の見解
一方日本医師会はNPに対して、
・日本はアメリアと違い、国民皆保険の日本では、国民の多くが同じ医療を受けられることを望んでいる。
・医師不足を解消すれば、NPをわざわざ導入する必要はない
と、NPに対してネガティブな見解を示しています。
きっと自分たち医師の既得権益を守るために必死なのですね。
日本にNPが導入されることはない??
日本医師会の権限があまりにも強いため、日本では今後もNPが導入されることはないでしょう。
(NPを導入したら、医師の権威がますます低下してしまいますので。。)
そのため、どうしてもNPになりたい方は海外で働くしかありません。(現実的には厳しいと思いますが。)
訪問看護などの自由度の高い仕事をしつつ、副業をしてNP並の収入を得ることが現実的な落とし所なのではないでしょうか。
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